錫杖岳 烏帽子岩 前衛壁で
アルパインクライミング
<左方カンテ>
 
錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>


●場 所:錫杖岳(北アルプス)
●日 時:2002年(H14)8月10日
●メンバー:助役、佐野さん、平蛸君、てる



錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
地域の地図は上記をクリック
 





 今回は佐野さんと助役が秋に登る屏風岩の練習として企画されたものに、僕と平蛸君の本ちゃんトレーニングを組み入れてもらい実現したアルパインです。
 錫杖岳烏帽子岩前衛壁にある左方カンテは数あるルートの中でも初中級者向けのルートとして有名で、前衛壁自体は300mもの高さがあり、カンテ、クラック、チムニーと変化に富んだ内容になっています。

 大阪駅中央コンコース噴水の広場に6時…。と思い込んでいたのは僕だけ。 行っても誰もいないので、助役の携帯に電話したら第4ビル前が集合場所だと!。打ち合わせ内容をしっかり見ていなかった僕のミス。あちゃ〜 こりゃしょっぱなから縁起がええわ。(^_^;
みなさんと無事?合流して、今回は佐野さんの車で一路信州へ。
 渋滞もなく養老SAで夕食を取り、東海北陸道で清見ICまで行き、158号線を東へ。11時頃に新穂高温泉に到着。
 槍見温泉から川を挟んで反対側に無料駐車場があり、そこで車を停め宴会を開始。ここには物資輸送用?のヘリポートもある。翌朝が早いこともありそこそこで就寝。


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
クリヤ谷から見た錫杖岳前衛壁


【5時半】駐車場を出
 朝4時半頃起床。朝食を取り、出発準備に取りかかる。
 5時半に出発。槍見温泉の横を通り抜け、途中から「笠ヶ岳へ」と書かれたプレートに導かれ登山道に入る。途中10分ほど休憩をして6時26分 クリヤ谷を渡るところに到着。
 さすがに水は冷たく美味しい。ここでもしばし休憩する。

【7時前】クリヤ谷と錫杖沢分岐
 クリヤ谷に沿って歩くことしばし。前方に錫杖岳前衛壁が見え始める。その規模、様相に圧倒されそうになる。ホンマにあんなん登れんのかなぁ〜。(-_-; 今年に入って雪彦山・御在所岳と登ってきたが、それらとは似て異なる。不安が頭の中をグルグルと回る。
 錫杖沢との出合いでクリヤ谷を渡り、今度は錫杖沢を登る。道は急激に角度が付いてアプローチだけであっぷあっぷの状態。(^_^;
 道はおおむね良好でトレースがついてわかりやすかった。

【8時47分】左方カンテ取り付き
 「ポーチがない!」と慌てたのは僕。携帯、トポなどが入っていたので慌てた。探しに回るがない。クリヤ谷で休憩したときに置き忘れてきたのかなぁと半ばあきらめて、登坂準備をしていたらザックの中にあった。ちゃんちゃん!。よー見んかい!>僕(^_^;
 とまぁこんなお騒がせは毎度のことだが、振り回されるメンバーはたまったもんじゃないかも。でももう慣れたでしょ?。(^_^;

 今回は四人なのでパーティを二つにわけた。どう分けたか?。養老SAで夕食を食べたとき、僕と佐野さんはカルビ丼で助役と平蛸君は豚カツ丼だった。ので、そのままカルビ丼チームと豚カツ丼チームに分かれることになった。う〜ん、何て単純な発想。(-_-;


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>   錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
左方カンテ取り付き 二のガリー   1ピッチ目ビレイ点から撮影
佐野さんも余裕しゃくしゃく錫杖岳(^Q^)
 

 さぁいよいよ左方カンテに挑む。先ほどあれだけ不安だった気持ちは岩場を目の前にすると、綺麗さっぱり忘れていた。逆にこのルートを登れるんだという気持ちでワクワクしてきた。現金なもんです。(^^ゞ
 1ピッチ目は上記画像のようにチムニーを登る。佐野さんと僕が登ったようにその左側を登ることもできる。僕らは時間短縮のため途中まで平行に登った。途中は立木を利用してプロテクションをとる箇所もある。


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ> 錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>   錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
2ピッチ目を登る平蛸君 2ピッチ目上部のビレイ点から撮影
バックは錫杖沢
  助役のビレイをする平蛸君
バックは西穂ロープウェイ


 2ピッチ目は豚カツ丼チームの後を僕がトップで行かせてもらう。1ピッチ目よりもさらに狭まったチムニーを登る。、上部右側には人の顔ぐらいの浮き石らしきものあったので、僕は左を登った。ステミングで処理できるフリーっぽいルートだから楽しく登れる。

 3ピッチ目はピナクルを右に巻いてフェースを直上する。巻いた後からフェースに移行する辺りが、少し、いやらしくトップを行った佐野さんも、突破するのに少し手こずっていた。結局、ラインから少しはずれた所にあった、リングボルトにヌンチャクをかけて、それを持ってA0で登った。


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ> 錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
左方カンテ
3ピッチ目から見えた向かいの尾根
カメラを向けると年に似合わず
お茶目なポーズで
笑わせる助役(^_^;


 4ピッチ目はU級でバンドをトラバース気味に右へ移動していく。ここは僕がツルベで先に行く。すると大きなテラスがある。ここで少し休憩。あとから次のパーティが追いついて来ているので、あまり心底休める気にもなれないが。

 5ピッチ目は右の凹角に体をねじ込んで、途中からフェースへ抜ける。
 ところが、僕のザックが大きすぎて凹角に体が入らない。仕方ないので、あとで回収することにして、上部のテラスまで空荷で抜けた。フリーだと楽チン楽チン。しかし、ザックの回収で手間取り腕がパンパンになる。(ToT)
 フェースはホールドも豊富で快適そのもの。ただし、ボルトが乏しいのでそのあたり、気をつけて登った。右のチムニー上部へ抜けるのだが、心情的にはフェースをそのままスカッと抜けたい気分になる。
 トポには「大きな木のあるテラス」と書かれているが、最初、それがわからず、テラスに着いてから見上げて、初めて大木があるのがわかった。大木には歴代のクライマーが残置したスリングが、お地蔵さんにかけてある、前掛けのように幾重にも束ねてあった。大木に直接かけるよりも、その根の方が細くてしっかりしているのでいいかもしれない。実際それにほとんどのスリングがかけてあった。
 このテラスはガレが多く、傾斜が付いているので落としやすい。移動は慎重にしたいところ。助役は「高度障害でしんどいぃ〜!」と叫んでいる。(^^;

 6ピッチ目は左のフェースを登る。助役じゃないけど、本当にバテてきた。トップは佐野さん。僕はフォローで登る。この面もフリーっぽくって元気ならばおもしろかったんだろうけど、もう登るだけで精一杯。(^^; 僕の後を平蛸君がトップで追いついてくる。まだまだ若くて元気いっぱいの平蛸君だけど、フォローで楽しているのに追いつかれるわけにはいかない。自分に鞭を打って7ピッチ目はそのままツルベで何とか大テラスに上がりきった。
 
 ここへ来て初めてトポにある「巨大な一枚岩」という意味が分かった。ようするに巨大な一枚岩が挟まって浮いているのだ。落ちてきて止まったのか、割れて落ちたのかはわからないが、裏側に回ると幅30cmほどの隙間があり、浮いていることが伺える。
 これだけでかくて重い物だから、人間が数人乗ったところでびくともしないだろうが、大きな地震が有れば崩壊するかも?。


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>   錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ> 錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
8ピッチ目のチムニー
出だし一発目、あぶみを使って登る助役
  体がすっぽり入るチムニー登り 平蛸君も続いて登る


【12時10分】8ピッチ目
 その一枚岩と岩盤の間を8ピッチ目のルートが通る。ようするにチムニー登りだ。このピッチが全体でも最難の核心部で、ルートも長い。
 核心部は最初の1ピン目で台座の岩に乗り、フェースにあるホールドを掴んで登る。ちょうど三田の烏帽子岩にある「ジャスティス」に感じが似ている。 トップで行く助役は最初、フリーで行ってみると果敢に責めていたが、あきらめてここで秘密兵器である、アブミを登場させる。「屏風岩までに使っとかんといかんしなぁ〜」とか独り言みたいな言い訳を一通り講釈し(^^;、再度トライ。
 さすがというか、鮮やかにアブミを踏み込んで突破したかと思うと、チムニーに入り込みトントンと高度を稼いでゆく。続いて、平蛸君、そして佐野さんも登っていった。
 最後に僕が行く。アブミがあると見た目よりも簡単に突破できた。チムニーとの間にサイコロ状の石がまさにチョックストーンとなっている。動いてはいたが、押さえ気味にしてホールドにする。あとはチムニーに入り込みボルトに沿って上がる。ザックを背に当ててオポジションでレストも出来る。
 最後は小ハングを越えて小テラスでピッチを切る。

【14時03分】左方カンテ終了
 最終ピッチはフェイスから草付きへと繋ぐ。最後のトリは佐野さんが行く。
 ボルトに沿わず、途中から右のバンドに出てあとは草付きを直上する。ロープの流れを考えて立木でピッチを切って、少し上の細長いテラスで左方カンテ終了。メンバーが登ってきて記念撮影。
 そろってから更に上の広い台地になった所まで上がって本当に終了。ここでがっちりと握手。
 緊張感の連続で身も心もくたくた。やっとザイルを結ばなくても落ちない所へ出たという安心感が、心を満たしてくれている。
 終日、曇り空で展望はイマイチ。穂高連邦はピークがすべて雲に掛かりスッキリとはいかなかった。 でも、そんなことはどうでも良かった。ここまで登れたということだけで満足だった。


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>    錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
最終ピッチを登る平蛸君    最終ピッチから見えた中央稜


【15時過ぎ】下降開始
 遅いお昼を取り休憩もそこそこに下山に取りかかる。
 下山は懸垂下降で下るのが一番早いみたいだが、ルートが混雑していたこともあって、北側の涸れ沢を下降することになった。
 佐野さんと助役のの的確なルートファインディングで岩峰を回り込み涸れ沢へと導いてくれた。途中でスパッと切れ落ちた崖が何カ所もあり、そんな箇所をへつる度に緊張した。
 また涸れ沢も半端じゃない。いつまでも延々と続く涸れ沢にもううんざり。平蛸君は下降がなれてないので、滑り落ちることしばし。見かねた助役が平蛸君の後ろについてサポートしたが、何度、滑り落ちても大杖夫のようなので、しまいには放っておかれたみたい。(^^;


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>   錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
最終ピッチで記念撮影
三者三様の表情で右端は魂の抜けた僕(^_^;
  下山路の枯れ沢は
ご覧のようなクマザサの海


【16時30分】クリヤ谷出合
 あまりの下降の長さに疲れがピークに達して魂が消えかかる寸前に(^^;、やっとクリヤ谷に到着。むさぼるように沢水を飲む。冷たくて美味しい!。
 しばし休憩後、クリヤ谷沿いに下る。筋肉痛が酷くなりお3人には先に歩いてもらう。そしてやっとのこと、槍見温泉駐車場に到着。

【18時過ぎ】槍見温泉駐車場到着
 さぁ温泉だ!と思いきや、先に風呂上がりに飲むビールを買いに行こうということになった。中尾高原方面に酒屋がありアルコール類を購入。そして待望の温泉となりました。

 槍見温泉は町営の無料の温泉で露天風呂が一つだけのシンプルな温泉。
 川沿いにあり、湯量はとても豊富で川に流れ出ていく温泉がもったいないほど。脱衣場もあるが、ほとんどの人は浴槽のそばで裸になって入っていく。
 日が落ちて暗くなると若い女性も浴衣姿で訪れる。バスタオルを巻いて恥ずかしそうに入る姿を見ると、混浴はええもんやなぁ〜と心の底から思う。(^^;
 温質は硫黄泉で少しだけだが硫黄の香りがする。温度は体温ぐらいで、ゆっくりゆったりと浸かれる。浴槽の大きさもかなりのもので、40人は楽々入れるほど。
 ただ、洗い場がないので登山客は垢が洗い落とせない?のが難点。無料だから仕方ないか。

 ゆっくりと浸かった後は左方カンテを登頂できたこと、そして無事戻れてこれたことを祈って乾杯となった。チキンラーメン入り雑炊やごちゃまぜラーメンなどほとんどすべてたいらげてしまった。
 今日はさすがにみな疲れているとみえ、午後9時には就寝。





 翌朝。この日は本当は助役と二人で奥穂から西穂を縦走するつもりだったが、錫杖岳だけで疲れ切ってしまい、無期延期宣言を出して、今回は徳沢行き観光ツアーとなった。(^^; この徳沢ツアーも囲炉裏10周年記念行事がその徳沢で行われているということで行くことになったのだ。
 徳沢には囲炉裏のメンバーでこのエリアを登った人などが寄って盛り上げている。僕らもその一員となるために寄ったのだ。
 上高地自体が初めてという平蛸君は目にするものすべてが初めてとあって興味津々のご様子。特に囲炉裏に入ってから山を始めたので、日本アルプスの概要を知らないため、代わる代わる山の位置をレクチャーする。
 面白かったのは、ガイドセンター前のエリア地図を指してあれやこれやとレクチャーしていたら、見るに見かねた?センターのおじさんが「これどうぞ」と勝手にエリアマップをくれた。これで勉強せー!ということかな?(^^;
 
 徳沢で奥様が待っている助役は衣食などボッカしたが、それ以外のメンバーは軽装で特に僕と佐野さんは空荷という観光客そのもの。
 普通の観光客でにぎわう河童橋を抜けて梓川沿いにまずは明神池へと歩く。
 明神池を出てしばらくすると、しぇるぱさんご夫婦とどんかっちょ!さんに出会った。しぇるぱさんご夫婦は徳沢巡り、どんかっちょ!さんは焼岳・西穂から北穂へと縦走の後、徳沢で合流後、今日帰ることになっていたのだ。
 しぇるぱさんから帰宅後、「錫杖岳をやってのけたオーラが出ていた」と評価してもらえたのはうれしかった。(^^)


錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>   錫丈岳烏帽子岩前衛壁でアルパインクライミング<左方カンテ>
明神池と徳沢の間で会ったしぇるぱさんご夫婦(右端)と
どんかっちょ!さん(左端)と記念撮影
  徳沢でテントキーパー役のSUMIEさんと
これから徳本峠へと向かう俊成さんと記念撮影


 お3人を見送って徳沢到着。
 SUMIEさんと俊成さんがいた。SUMIEさんはテントキーパーとして長らくここにいる。今年の徳沢の主?。俊成さんはこれから徳本峠へと向かうという。
 ちょうど、到着と同時に雨が降ってきた。助役がこのエリアに来ると雨が降るというジンクスは生きているみたい。(^^;
 大きな木の下で雨宿りしながら小宴会に突入。疲れていても助役の舌は絶好調!。疲れを吹き飛ばす笑いを提供してくれました。(^^)
 
 ここに残る助役とSUMIEさんご夫婦と別れ、俊成さんを含めた4人で来た道を戻る。俊成さんとは明神池手前の徳本峠への分岐で別れ、残った3人で車の置いてある平湯温泉に戻った。
 平湯温泉では平湯の森でまた一風呂浴びて、帰路に就く。
 帰りには僕のお薦めで一宮にある山本屋という味噌煮込みうどん店に寄って貰う。疲れた体に濃い味噌味がこの上なく美味い!。(*^_^*)
 交代で運転し僕の自宅前、そして平蛸君の自宅へと寄ってもらい無事帰宅。 運転中も話題は絶えず眠くなく大阪に帰ってこれました。

 今回はお二人の企画に便乗させていただいて本当に感謝しています。
 昨年はアルプス初沢登り、今年はアルプス初アルパインを経験できて幸せ者です。(^^)v