芦生 野田畑谷は春の訪れ
囲炉裏


●場 所:野田畑谷
●山 域:芦生
●日 時:2005年(H17)3月20日
●天 候:曇りのち晴れ
●標 高:
●メンバー:てる単独
●ルート:熊谷出合−若走路谷出合−三国峠東尾根−三国峠−P900−南尾根−野田畑湿原−野田畑谷−野田畑峠−三国峠−北北東尾根−若走路谷−熊谷出合



このホームページ内に報告している記録を参考にして山に登られる方は
ご自身の判断と責任において行動されるようお願いいたします
報告内容についてはあくまでも参考程度にとどめてください


地図 地図
カシミール3Dは上記をクリック 地形図はこちらをクリック 地域の地図は上記をクリック


 2週間前に囲炉裏の仲間と訪れた芦生。その時は3月になるのにまだ冬の装いだった。積雪はゆうに2mを越えて、どこを見ても真っ白な山に、予定していたコースの変更を余儀なくされ林道を歩いて野田畑湿原へと向かったのだった(そのときの報告はこちら)。

 その時に歩けなかったルートを今回は一人で歩いてみたい。それに加えて野田畑湿原を尾根から眺めてみたい。そう考えてプランを立てた。
 前夜に大阪を出発。僕の車はノーマルタイヤなので、冬本番の季節は、他の人の車に便乗させてもらってしのいできた。今回はもう凍結も大丈夫だろうと思って出かけたのだが、367号線に入ると路面の温度表示はなんと−3度!。1月に来たときでもそんなに低くなかったのにと思いながら、しかしゆっくりと走って生杉まで特に凍結した場所もなく11時半頃に到着。
 今回は矢問さんご夫婦とここで会えることになっている。お二人はこの日、大山を登った後に、こちらへ回り翌日僕と同じ野田畑湿原へと歩き長治谷作業所でテン泊する予定だそうだ。 矢問さんらしい車を見つけたが、夜も遅かったし、明日の朝になれば会えるのでそのまま素通りし、車を停車。車内で寝る。


東の空が赤く染まる


【6時06分】熊谷出合を出発
 明け方、寒さで目が覚めて起きる。まだ、外は暗い。
 5時半頃、矢問さんが車でやってくる。前日の疲れはどこへやら、テン泊装備を引っ張り出して準備をしている。今回歩くルートをお互い確認して、朝食は食べずに矢問さんとMICKEYさんは出発していった。
 僕はサンドイッチを食べて、ごそごそと支度をしていたら、すでに6時を回っていた。 矢問さんから遅れること20分。出発。
 東の空が朱色に染まり始めた。山肌はモルゲンロートのように赤く染まっている。朝焼けは天気が良くないというが当たってしまうのか?。
 除雪はすぐに終わり、林道は雪がまだ多い。しかし、山の斜面はかなり雪が溶けて地が見え始めている。


アリ地獄のような穴に
入らない
よう間を縫って登る
振り返ると1月に
歩いた尾根が
見えた


京菓子を思わせるようなマンサク


【6時17分】若走路谷出合
 矢問さん達が歩いた跡が林道から若走路谷へと進んでいる。
 ここでワカンを付けて登りに備える。今回は三国峠からの東尾根を登るつもりで来た。 少しだけ若走路谷沿いに足を進めて、適当なところから斜面を登り始めた。登り始めは地形図で見た等高線の間隔より厳しい斜度に、膝を入れて登ったりして超スローなペースで登り続ける。しかし、しばらく登ると雪がしまり沈み込まなくなった。雪がしまっていてくれたお陰でこの先も無雪期並にハイペースで歩け、予定していた時間を大幅に短縮できた。
 尾根に乗ると、あとは2ヶ月前に下ったルートに乗るので気分的にも安心しながら高度を上げていく。


【7時17分−28分】三国峠山頂
 順調に尾根を登り詰めて三国峠近くまでやってきた。ここで雪面をピョンピョン跳ぶ動物がいた。リスだ!。もう冬眠から覚めてエサ探しかな?。
 小さな起伏のピークを縫うように歩いて三国峠を目指す。最後に三国峠の急坂を登り切ると山頂!。
 矢問さんはまだ着いていない。誰もいない一人だけの山頂。積雪は1月に来たときより若干多く感じる。それにあのときより展望はいい。武奈ヶ岳の稜線や青葉山らしい尖った山も見える。
 矢問さんが来るかと思ってしばらく待っていたが、来そうにもないので先へ進むことにした(矢問さんは途中で朝食をとっていたそうです)。


三国峠山頂から見えた青葉山
(中央奥)
武奈ヶ岳も見えた


 野田畑谷の方角である西の展望を眺め、地形図とコンパスを照らし合わせ、方角を頭の中にたたき込んでから下り始める。ここからP900への稜線まで、やっぱり小ピークが多く惑わされやすい。実際、無雪期に歩いたときも迷った。(^^;
 本当は登らなくてもいい三国峠の西にある小ピークを、エッサホイサと登り、改めてP900を眺める。間違って南側の枕谷へ下りそうになるところを修正しP767へと抜ける。
 P767からの尾根は無雪期のときに歩いたことを思い出せないくらい細い。南側はかなり雪が溶けて崩れている。


三国峠の西の小ピークは雑木林
 
P900への細尾根の南側は
雪が溶けて崩れ始めている
P900から見た三国峠


【8時15分】P900のピーク
 P900のピークへは最後にキュ!っと上がっていて、しかも倒木が行く手を塞ぎ回り込まなければならなかった。
 P900のピークには道標があり、野田畑峠へは90度右へ曲がるようになっている。今回は野田畑湿原を上から眺めたいという目的があるので、野田畑峠へは行かず南への尾根を歩くことにする。ここからは初めてでちょっとワクワクする。
 P900からはまず南東へ、そしてしばらくして南へ延びる尾根に乗る。てっきりこのコースは雪の季節しか歩かれていないと思っていたら、途中の枕谷への分岐で黄色に巻かれたテープがあった。それには11月の日付が書かれてあった。どうやらこの尾根にも無雪期でも歩けるコースがあるようだ。
 ブナが多く見られるこの尾根はこの時期ならではかもしれないが、遠くに傘峠に連なる尾根が見えたりしてなかなかいい感じ。高低差が少ないなだらかな尾根というのも感じを良くしているのかも知れない。
 南東へ下れば中山神社へと向かう尾根と別れて、南西へ下る尾根を歩く。ここにも古いながらもテープがあった。この辺りは日当たりがいいのか雪が溶けて土が見ている箇所が多く、所々土の上を歩いて越えた。


タムシバの芽 P900にある道標

ブナが多く見られるP900からの尾根

【8時50分】野田畑湿原
 順調に支尾根を下ると真っ白な雪原が見えてきた。
 見えそうなところで立ち止まっては眺めることを繰り返し、じゃましている木々が少しでも少ないところを探しつつ歩く。結局、スッキリとは見えるところはなかったので、適当に場所を見つけて立ち止まり、広いこの湿原を上から眺める。まぁ満足。(^^)

 そのあと、尻セードで滑るには絶好の間合いを見つけ、早速、尻を降ろして滑り始める。お、お、おぉぉぉーーーーー!とあっと言う間にとんでもないスピードで滑り出し、しかも制御が利かない!。その恐怖感と言ったら箱で囲まれていないジェットコースターに乗った感じ。とっさに体をひねったことで何かがブレーキになってくれたのか止まってくれた。目の前には太いブナの木があり、もう少しで激突するところだった。止まったのは奇跡としかいいようがない。あとでこのことを矢問さんに話したら「尻セードでブレーキに使うためにピッケルを持って行くんや」と言われた。すごく納得。(^^ゞ 尻セードをするときは状況を良く確認してからにしましょう。(--;)


尾根から見えた野田畑湿原 野田畑谷からの流れは
以前より幅が広くなっていた

湿原の上に広がる雪 シデ系の木の芽


 湿原を目の前にして野田畑谷がゆるりと流れ、徒渉を余儀なくされる。2週間前に来たときよりも沢幅も水量も多い。徒渉ポイントを探して渡るが、かなり水にはまった。しかし、防水スプレーをこれでもか!とふってきたお陰か中まで濡れずに済んだ。
 徒渉の方法も前回でかなり慣れて、足で雪をかいて、階段を作り、手を雪に突っ込んで「手アンカー」とし体を引き上げる。こんな時、前回しんさんが持っていたショベルがあったらなぁーと思う。来期はぜひ自分のアイテムにしたい。

 湿原は前回と同じ、真っ白なキャンパスで一見何も変わらないように見えたが、端から端まで歩いてみると、たった2週間で変わった一面を見せてくれていることに気がついた。
 まず、前回は表面上では見えなかった上谷が姿を現していた。沢幅は4mほど。無雪期と同じ沢幅だ。
 そして、野田畑谷の流れに沿って、ぽっかりと雪が溶けて湿原の水草が顔を出していたりする。この風景を見ると春が来たなぁと思わずにはいられない。
 あちこちと歩き回りカメラを構えてはシャッターを切るが、ある程度時間がたつと、もう次の目的地、野田畑谷が気になってきて仕方がなくなる。元々せっかちな性格でもあるので同じ場所にジッとしているのは性に合わず、およそ40分余りでここを後にする。



雪に亀裂が走る


湿原にくじら(^^; 雪の下で眠っていた水草が顔を出し始めた


【9時30分】野田畑湿原を出発し野田畑谷へ
 第二の目的、野田畑谷へ足を踏み入れる。以前、来たのは昨年の6月。新緑の野田畑谷だった。緑が一杯だったあの頃とはもちろん違い、モノトーンな風景。でも、ブナやトチの大木に囲まれた野田畑谷。そんな風景を足早に過ごすにはもったいないと、自分にしてはゆっくりと体で感じるように一歩一歩踏みしめて歩く。
 2回ほど徒渉をして歩いていたとき、遠目に人影が見えた。矢問さんとMICKEYさんだ。どこで再会できるか楽しみにしていたが、ほぼ予定通りだった。 わかってはいてもこんな場所で再会できるなんてちょっと感激。(^^)
 お二人は若走路谷が徒渉の連続で嫌気がさし、途中から尾根に乗り三国峠から国境沿いに野田畑峠まで来たそうだ。テン泊装備の大型ザックでこのルートはさぞかし厳しいと思うが、そう見せないところがお二人の凄いところだろう。
 ここで矢問さんが買ったばかりのGPS「GPSmap60CS」を見せてもらう。10m間隔の等高線でしかもカラーとあって、すごく見やすい。僕は当分の間、ベンチャーで我慢。(/_;)
 出合った証拠写真ということで囲炉裏のバンダナを入れて記念撮影。お互い「がんばって」と言って別れた。


P900からそのまま南西に下る
尾根もいい感じっぽい

折れた木が隣の木にぶら下がっている





矢問さんとMICKYさんに
野田畑谷で再会





【10時43分】野田畑峠
 野田畑峠まで来て小休止。この辺りも気持ちがいい。ここからP900まで嫌と言うほどの登りの始まりだ。まず、野田畑峠からの登り。矢問さん達が歩いてきたトレースがあるのでそのまま利用させて頂く。ある程度登ると東側にシンコボへの尾根が見え始める。
 そういえば無雪期に歩いたときも、見上げるような急坂の途中でペースの遅いグループを抜いて余計バテバテになったっけとか思い出しながら、息も絶え絶えに足を上げる。
 一旦、登り切ったところから見えたのは絶望的なP900のピーク。崖のように見える斜面に思わず「ひぇー!」と声が上がる。(^^; 。無雪期では葉で隠れて見えないがこれは見えない方が精神的にいいのかもしれない。(^^;
 時々休憩を入れながら、ヒーヒー言い持って登ることしばし。倒れ込むようにP900へ到着。(>_<)
 ここで往路で歩いた南東へと延びる自分のトレースを見つける。自分のトレースを違う方角から来て眺めるのは不思議な感じだ。

野田畑峠にあるプレート

 P767へと向かう尾根からは往路のトレースではなく、矢問さんが歩いたトレースをたどる。往路で三国峠の西のピークを登ったのだが、矢問さんたちは登らずに北斜面を巻いて歩いていた。僕もそれに習う。その方が登らなくていいので楽だ。しかし、あまり楽をしすぎると自分の位置を確かめることをしないので、どこを歩いているのかわからなくなる。人間、楽をすればするほど呆けてくる。(^^;

国境尾根から北部を見る

【12時】再度、三国峠
 この辺りへ来て、足の筋が張ってきた。元々冷えやすい体質で沢登りでも冷えて足がつりやすいため、ポケットにカイロを入れておいたのだが機能せず、しかも雪のアップダウンで筋肉が悲鳴を上げ始めたみたい。ゆっくりと休憩も取らずに来たのも悪かったみたい。(^^ゞ
 寄らなくてもいいのに三国峠への急な登りを登り詰めると、とうとうギブアップ。腰を下ろして展望を眺める。
 しかし、往路で見たときよりも遠方は山並みにガスがかかり、この辺りも雪雨がちらついてきた。これから先は往路で歩いてきた道をたどるだけなので安心。だがガスられるとやっかいだなぁと思い、ゆっくりと休憩しようと思っていたが、重い腰を上げた。(~_~;) お腹に行動食のういろうを詰め込む。


三国岳でどっこいしょっと


 下ってトレースをなぞっているうちに、自分の踏み後をはずし、矢問さんのトレースを歩いていた。矢問さんが歩いたルートもどんなものか気になったので、そちらを歩いてみることにした。
 クチクボ峠へと向かう尾根沿いに歩き、途中から北北東への支尾根に入った。杉の木が行く手を阻み歩きにくい。
 東へ方角を変える頃から急激に下りだし、踵から打ち込むように足を降ろしながら下る。それでも時々、ズルっと雪面を足が滑り冷や汗をかくことしばし。湿原への下りで体感した尻セードの恐怖を体が覚えているので、とても慎重に降りた。こんなところで滑り落ちたらまず止まれない。
 それにしても、この急坂を矢問さんたちはあの荷を背負って登っているのだから凄いとしか言いようがない。
 やっとのことで若走路谷へたどり着いた。大きく安堵のため息をつく。

 ここから林道の出合までは3回ほど徒渉ポイントがあったが矢問さんが作ってくれた徒渉階段を利用させてもらったので、簡単に越せた。
 ここへ来て、お天気は回復。杉の谷間に日が差し込む。何で今頃。(--;)
 往路で登った斜面の前までたどり着き、自分が歩いた足跡を見上げる。こちらも結構な斜度。「よー登ったなぁー」と自画自賛。(^^ゞ
 林道まで来るとCXのおばさんが横切っていく。ワカンを外して熊谷出合まで歩く。来たときは硬かった雪も温度が上がりゆるゆる。ワカンを外すタイミングを間違ったと思っても後の祭り。


往路は手前から4本目の尾根を登ってきた

【13時17分】熊谷出合へ到着
 CXでこれから地蔵峠へと向かうカップルに状況を尋ねられた。「まだまだたっぷりと雪はありますよ」と答えておく。
 車まで戻ると車の数も増えていて、多くの人が芦生へ来ていることがわかる。
 すっかり晴れ渡った芦生をあとに、朽木村の温泉「てんくう」へ寄って汗を流す。地下の休憩室で遅くなった昼食を食べながら見たテレビには、今話題に上っているホリエモンのニッポン放送株買収劇の模様が放送されていた。
 帰りに家族へのお土産にチーズケーキとシュークリームを買って帰る。
 帰りの道中は車の窓を少し開ける方が快適なくらいで、気持ちよく鯖街道を走り抜け家路を急いだ。


往路に登った足跡 帰る頃にすっきりといいお天気(ToT)


 今回のルートは2週間前の山行で予定していたのですが、その時期なら間違いなく野田畑谷までたどり着けなかったでしょう。雪がしまり無雪期並の歩行ができたことでたどり着けたのだと思います。
 雪の時期の予測は難しいと改めて思いましたが、予定通りのコースを単独で歩けたことは大きな自信になりました。