大峰山系 芦廼瀬川へ沢登り
●場 所:芦廼瀬川
●山 域:大峰山系
●日 時:2001年(H13)9月14日〜16日
●天 候:15日(雨のち曇り)/16日(曇りのち晴れ)
●地形図:池原・十津川温泉・大沼(1/25,000)
●メンバー:オールドクライマーさん、よるのちょうさん、亀さん、てる
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七泰ダム(右)と道路の終点
関西の沢の中でも、自然の造形美を残す数少ない沢として有名な芦廼瀬川に今回は挑みました。 芦廼瀬川は大峰山系の涅槃岳、笠捨山の西に位置し百間グラ・焼グラなどの大規模な岩壁が発達した沢としても有名です。
今回のこの沢は今まで経験したことのないほど、泳いで泳いでまた泳いでの連続で、しかも雨が降った関係で流れも早く、大変な遡行でした。
それでは遡行報告をどうぞ。
○14日(金) 大阪を出発
今回は自分が車を出して、亀さん、よるのちょうさんと合流、一路大峰へと向かう。オールドクライマーさんとは池原ダムの袂、下北山スポーツ公園で待ち合わせをしている。もう少しで到着というときに突然の大雨。明日は天気が悪いということだったが、秋雨前線は日本海側を通るので余り影響がないかと思っていた。この雨が15日も影響するとは思いたくなかった。
その雨もオールドクライマーさんと合流する頃にはやみ、少しの雑談後、時間も遅いので就寝となった。
○15日(日) 【8時45分】芦廼瀬川に突入
午前6時。起きてみると曇り空。朝食を取り車2台でとりあえず、遡行終了点である西白谷と東白谷の二俣へ向かう。425号線から右折し林道へ入ったところに広場があり、さらに進もうとするとゲートが設けてあった。これは誤算。聞いてないよ〜。(=_=;) 仕方がないので、少し戻って広場に車を停めてデポし、オールドクライマーさんの車に乗り換えて七泰ダムへと下る。
七泰ダムへの道はかなり長く、デポ車がないと4時間歩きになるとか。七泰ダムは小さなダムで、道を奥まで行ってしまうと乗用車では方向転換できない。オールドクライマーさんの車は軽自動車だったので、何とか方向転換できた。
入渓してすぐは穏やかな風景 七泰の滝の淵を泳いで渡る ワサビグラを見上げながら七泰の滝を巻く
支度をしている間に雨が降り出した。出発しようとするときに雨なんて悪い予感…。
入渓してほどなく右上にワサビグラが見え始める。と同時にその下には七泰の滝が大きな淵をたたえて流れ落ちている。雨のせいかかなりの水量で流れも早い。ここでいきなり泳ぎが待っていた。七泰の滝の右岸を巻くために右岸へ渡るためだ。まず、オールドクライマーさんがロープを付けてトップで行く。続いてよるのちょうさんがライフジャケットを着込んで飛び込む。泳ぎが若干?苦手なよるのちょうさんにとってライフジャケットはこれ以上ない心強い味方。 続いて亀さん、僕とロープに頼って渡り付いた。
保色滝5m、槙滝10mと続く。轟音鳴り響く槙滝はトポを見ても他のホームページで調べても直登は無理と書かれてあったが、そこはオールドクライマーさん。ガンガン行ってしまいます。f^^;)
右岸に取り付いて、高さ3mほどの所を渋くトラバースしながら滝の手前にある、人が3人ほど入れる凹角テラスでビレイを取り、そこから凹角を直登。この壁、ホールドの位置がバランスを取りにくい箇所にあり、僕のレベルではとてもトップで登れない。
その壁をトップのオールドクライマーさんは右壁からナッツを屈しして突破。僕らはアンザイレンしたロープとフィックスしたロープの2本を使って何とか突破できた。初っぱなからなかなかどうして厳しいじゃあ〜りませんか。f^^;)
槙滝10mに挑む 槙滝を渋く高巻く
【12時過ぎ】送電線の下
相変わらず雨は降ったりやんだりの繰り返し。藤根谷とカラ谷を見送ると、本当はフジネと呼ばれる岩盤帯があるそうなのだが、知らない間に通り過ぎてしまった。それほど変化が見られないということか、もしくは僕がただ単に見逃しただけか。f^^;)
幾多の徒渉を繰り返し送電線が上空に見えた頃、ちょうどお昼となったので昼食タイムを取った。まだまだ核心部の焼グラ淵まで時間がかかりそう。
藤根谷とカラ谷の間の河原状 胸までの徒渉は嫌というほど訪れる 送電線の近くで昼食
【12時32分】百間グラ
出発して間もなくして、左手に大岩壁が見え始めた。百間グラだ。アクセスさえ良ければ、とっくの昔に開拓されているはずだが、そのへんどうなんだろう?。
百間グラの下は河床から壁となってそそり立っている箇所が多く、厳しいトラーバスが待ちかまえていた。水量が多いので激流となった沢を背にトラバースするのは、かなりの緊張感があった。とはいうものの僕らはトップを行くオールドクライマーさんからフォローしてもらっているので、かなり楽だが…。
百間グラを過ぎると左手から枝谷が入ってくる。ヒイラギ谷だ。奥には深い緑に囲まれた20mほどの斜瀑が蕩々と流れている。見ていると心休まるが、また激流に身を投げるときがきた。
百間グラと言われる
大岩壁を仰ぎながら進む沢を背にトラバース ヒイラギ谷
3mほどの距離だが細くS字になっている箇所があり、細いので激流になっている。他に巻くことができない。オールドクライマーさんがロープをセットし「流されたら引っ張ってくださいね」と言い残し、イチニのサン!で激流に逆らって飛び込んだ。もがきながらも何とか渡りきることができてホッとする。続く僕らは引っ張ってもらえるので…。本当に楽させてもらっています。m(__)m
ヒイラギ谷から焼グラ淵までにはこんな
穏やかな流れの場所もある激流に立ち向かうよるのちょうさん
【15時20分】100mの淵
そして芦廼瀬川のメインといえばここ100mも続く淵!。両岸は迫り立っていて上部は木々が覆い被さっているため日が当たっていても薄暗いだろうと思われる。それがまた神秘的なイメージをかもし出すのかもしれない。自然って素晴らしい!。
この日はあまりに水量が多いため一気に泳ぎ切るのは無理と判断。斜めに横断しながらジグザグ泳法で突破することになった。
ここで持ってきた浮き輪の登場!。この日のために先日YAHOO!オークションで浮き輪を入手したのだ。颯爽とザックから浮き輪を取り出すとみな大爆笑!。機動戦士ダイナマンの浮き輪だったからだ。どこからどうみても幼児用の浮き輪だが、ビート板の役目を果たしてくれたらいいと思っていたし、何より取っ手があるのが良かったのでこれにしたのだ。
さぁいざ着水。行くぞ!。バシャバシャバシャ!。最初、流れの緩いヘリを泳いでいるときは良かったけれど、真ん中付近に差し掛かると流れが早くなっていて戻されていく〜!。結局、片手で浮き輪を持って片手で水かきしながら必死で対岸へ泳ぎ着いたのでした。(=_=;)
これはこれとして沢登りの場合は、いちいち浮き輪を出したりしまったりする作業が大変なので、ライフジャケットを着用するか、ザックを浮き輪代わりにする方がいいと思います。実感。 結局浮き輪はこの時のみの使用で終わり。f^^;)
焼グラ淵の入口 100m以上の大瀞だ オークションで落札した浮き輪を試す
滝口まで泳ぐとそこには大きな円形の淵があり、満々と水をたたえている。この辺りまで来るとガレが埋まり膝辺りの深さになっている。滝になるべく近づいてオールドクライマーさんが飛び込む。滝身の左から取り付いて直登。見た目より足場もあるようでスルスルと登っていった。僕らもロープに頼って続く。
焼グラ淵の出口に落ちる斜瀑 右岸から直登するために取り付く
【17時過ぎ】洞窟状の滝を持った8m
ここが芦廼瀬川の核心部。最難関の場所だ。滝に近づくほど両岸が迫り少しS字になった淵で薄暗い。8mの滝は轟音を響かせて圧倒的な水量を流し込んでいる。近づけばとんでもないことになりそう。どこを登れるのか見たところ、どうやら滝の手前にある左岸の凹角しかみあたらない。手前にも少しスラブになった傾斜の壁があるが、乾いていればともかく常に濡れているこんな場所ではとうてい無理。
例によってオールドクライマーさんが泳いで取り付く。水辺からはい上がるのに足場がないようで、かなり苦戦している。すでに凹角にはハーケンが打ってあったのでそれにプロテクションを取って考えることしばし。ザックを降ろしてそれにもプロテクションを取って踏み台代わりに仕立て上げた。「あとでザックを回収してきてください!」とオールドクライマーさんからコールがあった。
あとで聞いた話、このときにザックを担いで登るかどうか悩んだそうだ。空荷で登って登れる状況ではなければ、こちらまで戻るつもりでいたそうだ。時間がかなり押して暗くなっていたし、再び雨も降り出してコンディションとしては最悪。苦渋の選択を強いられたに違いない。見守る僕らも寒さに震えながら固唾を飲み込んで待っていた。 ナッツをセットしながら4mほどの高さのバンドまで何とか到達。雄叫びが上がる。\(^o^)/
S字になった淵の奥には怒濤の流れを生む
8mの滝が(左岸に凹角)凹角取り付きに苦労するオールドクライマーさん
(左画像から少し進んだ箇所)
しかし、喜んでばかりはいられない。あと3人登らなければいけないのだ。まず、よるのちょうさん。オールドクライマーさんが2本のロープを引っ張って上がったので、1本をフィックスし1本をアンザイレンしゴボウで登る。かなり苦戦したが何とか抜けきった。
次は僕。水に浸かって泳ぐこと数m。と突然、寒さのためか足が吊りパニックに。何とか筋をのばしてだましだまし凹角までたどりついた。まず先ほど、オールドクライマーさんが残置したザックをロープで引っ張り上げてもらう。アンザイレンしているから心強いといえば心強いが、ほとんどホールドらしいホールドが見あたらない。少し窪んだ箇所に一か八か足を置いて無理矢理体を引き上げる。あとははっきりと覚えていないが、凹角の中心にホールドがあり、それを掴んであとはゴボウで登ったような気がする。ザックの重さ・疲労、そして少しハングしたルートにもうバテバテ。あきらめかけたとき、みんながかけてくれた「ガンバ!」の声が後押しをしてくれた。「絶対に乗り切ってやる!」とこれぞ火事場のくそ力!。何とかバンドに登り切れたのでした。 あとの亀さんも同じだったと思う。本当に苦しくて辛い一瞬だった。
かなり暗くなっていたので(6時過ぎ?)ヘッデンを付けることになった。が、僕のヘッデンがつかない。自宅で試したときはついたのでザックの中でつきっぱなしになっていたのか?。また、間が悪いことにいつもは持ってきているはずの換えの電池までもない。仕方がないので3人に照らしてもらいながらアンザイレンで8mの滝の横を通過する。
真っ暗な中で轟音と共に流れ落ちる滝の横を通過するのは心臓に良くない。f^^;)
幕営地を探しながら先に進むが、本当に幕営できそうな場所があるのか不安になっていると、あった!。水面からかなり高く、しかも砂地で大岩に囲まれて広さも充分。これなら心配ないということでやっと息が抜ける場所に落ち着けた。もうくたくた。ここまで何とか無事にたどり着けたことに、感謝の念を込めてみなで握手を交わす。
早速、幕営準備にかかり支度が整ったところで、焚き火を燃やす。雨でしめっているため木々はなかなか火がつかなかったが、それでも食べている間は暖かい火の明かりを灯し続けてくれた。
お腹はペコペコ。みなはカレー。僕は牛丼。おまけにみなが持ち寄った酒のあてをプラスして小宴会モードとなりました。今日一日を振り返って話題は尽きることなく、寝たのは午後10時頃。
やっと幕営地を見つけて焚き火を囲む 幕営地全景(翌朝)
【7時30分】2日目出発
6時起床。起きてみるとお天気は曇り。雨が降るような黒い雲ではなく明るい雲だから大丈夫だろう。
朝ご飯を食べて撤収後、出発。
左からすだれ状のトビワタリ谷が合流する。その後もへつりでは突破できず、前日と変わらない水量の中へ飛び込んで渡ることしばし。そうかと思うと数百mにわたって続く穏やかな流れに変わったり、この沢は変化が激しい。
途中、水辺から高さ3mほどの緩い傾斜を巻き歩いていたとき、乗っかっていただけの石に足を載せてしまい、それがぐらついて転倒。滑っている上に傾斜していたので滑ること滑ること。危うく沢に落ちる寸前で足で踏ん張って体を止めることができた。危ない危ない。(~_~;) 最後まで気を緩めてはいけません。
すだれ状のトビワタリ谷 二人目からはロープに頼れるのでかなり楽 激流に向かって進むのはかなり困難であり
ロープを引っ張る方もかなりの体力を要する
【12時48分】笠捨谷
トポや地形図を持ってきているのに現在地がなかなかつかめない。枝沢を目印に当たりを付けるがはずれてばかり。少々自信消失。(=_=;) しかし、笠捨谷のゴルジェではっきりと位置がわかった。両岸は壁がそそり立ち幅1.5m、長さが20mほどの細い瀞で、遡行意欲をそそられる。
後半になってもまだまだ泳ぎは続く 西尾根にある1116mのピーク 笠捨谷との出合い付近は
直線状のゴルジェになっている
【12時53分】狼返しの滝
狼返しの滝と深い淵
その先には大きな淵を持った2mの滝が現れた。これが狼返しの滝だ。左岸から右岸に徒渉し淵を巻く。滝口まで登ったところで休憩。ここでオールドクライマーさんからハーケンの打ち方を教わった。リスを探して試しに打ち付ける。リスの向きによってハーケンの向き(アゴ)を変えるように聞き、あちこち試してた。そのうちに、オールドクライマーさんがこの淵に飛び込んでみると言い出した。
すかさずデジカメを用意して構える。「いいですか〜?いきますよ〜?」「オールドクライマーさんOKです!いつでもどうぞ!」「流れに引き込まれそうだったらロープを引いてくださいね」というと体勢を整えて、アッという間に飛び込んだ。ドッボーン!。しかし、思った以上に沈まない。滝から流れ落ちた空気の気泡が上がってくるため天然のクッションになって持ち上げられるそうだ。
これで味を占めたオールドクライマーさんはその後も向きを変えたりして合計5回も飛んだ。「日頃の嫌なことも吹っ飛ぶ〜!」と絶叫!。みなそれぞれいろいろ事情があるわね。f^^;) 僕も飛び込んでみたかったが、メガネが心配だったのでやめた。
オールドクライマーさん 狼返しの滝で戯れるフォトグラファー まずは正統スタイルで飛び込み… 次は後ろ向きバンザイスタイルで… 最後は一番怖いお尻から
【13時53分】駐車場到着
ラストスパート。ゴールは近い。が、やはり時間が余りない。相談の結果、予定していた林道を横切るまでは行かず、堰堤の手前の枝沢を登り駐車場へ戻ることに決めた。核心は抜けていたし十二分に芦廼瀬川は堪能できた。2日間共にした芦廼瀬川をあとにして枝沢に入る。堰堤を一つ抜けて林道へ上がるとそこが駐車場だった。どんぴしゃり!。無事遡行完了できたことに握手を交わす。
堰堤が見えたところで芦廼瀬川の遡行は終了
左岸から入る枝谷を登って駐車場へ国道と林道の分岐にある駐車場
かなりの台数が置ける
このあとはオールドクライマーさんの車を回収し十津川温泉、滝湯(詳しくは「村の温泉巡り」を参照)へと向かった。この温泉、最近リニューアルされたようで、内湯と外湯(露天風呂)に別れていて外湯は川のせせらぎを聞きながらゆったりと浸かれるいい温泉でした。ここはお奨めです。
休憩室も広くゆっくりできたのは嬉しかった。帰りは168号線から吉野へ抜けて、そこでオールドクライマーさんと別れ大阪へ。
5月末に赤坂谷から始まった今年の沢の集大成というべく、この芦廼瀬川を遡行できたことは自分にとってあらゆることで自信に繋がりました。苦難こそ越えることができたときに身に付くものだと改めて思った次第です。
とはいうものの、もう当分この沢は遠慮したい。やっぱり厳しいです。f^^;)
十津川温泉 滝湯