しっとりと秋の芦生
大谷を沢登り


●場 所:芦生 大谷
●山 域:京都北山
●日 時:2003年(H15)11月2日
●天 候:曇り時々雨
●メンバー:矢問さん・BAKUさん・てる



このホームページ内に報告している記録を参考にして山に登られる方は
ご自身の判断と責任において行動されるようお願いいたします
報告内容についてはあくまでも参考程度にとどめてください


カシミール3Dは上記をクリック 地図はこちらをクリック 地域の地図は上記をクリック


 地蔵峠から芦生研究林へは入林禁止になっています 

2006年6月現在、地蔵峠からの入林は禁止になっています。
詳しくは「森林ステーション芦生演習林」のホームページをごらんください。



 
【4時40分】駐車場を出発 → 【5時14分】地蔵峠 → 【7時37分】岩谷出合 → 【9時40分】大谷出合 → 【10時40分】二ボケ →
【12時55分】三国岳山頂到着 → 【13時35分】三国岳を出発 → 【16時45分】地蔵峠 → 【17時15分】駐車場


 今年は夏にゲロク谷右俣・左俣で芦生デビューを果たした僕は、今回、秋の芦生を堪能してきました。一年に3度も同じエリアへ出向くのは僕にとっては珍しい。芦生に惹かれているのもあるが、やっぱり芦生の虜になっている矢問さんの存在が大きい。(^^)
 その矢問さんとは今年の沢登りはすべて一緒。そして沢で一緒に歩くのは2年ぶりのBAKUさんというメンバーで楽しい一日を過ごしました。
 個人的には翌週に六甲全山縦走大会に参加する囲炉裏のメンバーのサポート隊隊長を務めていることもあり、2ヶ月前から何かと慌ただしい日々を過ごしてきたので一息つきたいという気持ちもありました。

 大阪で3人が合流して矢問号で生杉へ。坊村までは国道でスイスイだったが、安曇川を渡り針畑川沿いに入るとすれ違いがやっとという細い車道になる。そんな道を矢問さんは巧みにハンドルを切りながら走り抜ける。
  地蔵峠へと登る坂道の途中でゲートがあり、その手前で車を停める。比較的綺麗なトイレ施設があり、その横に車を横付け。
 すでに周りは芦生を目指す人らしい車が数台止まっている。
 矢問さんと行くときはいつも矢問号の車内で寝させてもらっていたが、今回風邪気味の僕は寝ているときに咳が出ると迷惑なので、テントをチョイス。さぁ設営となったとき、積んだはずのテントを探す。…がポールがない。あちゃ〜、またやっちゃいました忘れ物!。ゲロク谷の時に助役が同じ忘れ物をして「忘れ物キング」を譲ったばかりなのにこの瞬間、みごと王座に返り咲いてしまった。(^^;
 1時間ほど矢問号の中で小宴会をして就寝。

浅く緩い由良川の流れ

【4時頃】起床
 気温は10度前後だと思うが、長袖にフリースを着込んで3シーズン用のシュラフをかぶると暖かい。気持ちよく寝れた。
 午前4時頃、矢問号のドアが開く音で目が覚めた。僕も外に出る。もちろだが辺りは真っ黒。そして空気が冷たい。しかし、空を見上げると満天の星空。僕らの他にはまだ誰も起きようとはしていないみたいだ。 そそくさと朝飯の準備をし食べながら今日の用意を始める。

【4時40分】駐車場を出発
 急いでいたわけではないが、みんなの準備が意外に早く整ったので予定より早く駐車場を出発する。しかし、これが後々明暗を分けることになろうとは知るよしもなかった。
 中山までは林道歩きなので真っ暗でも迷わない。迷わないけど怖くてとても一人じゃ歩く気が起こらない。そんな道を3人でお喋りしながらテクテクと歩く。

【5時14分】地蔵峠
 車止めのゲートを越えると大きな芦生研究林の案内図が見えた。ここが地蔵峠だそうだ。ここで矢問さんが入林届けを書いてくれる。
 このまま林道を下り中山まで出る。由良川まで出るものの橋を渡らず「大谷」と書かれた道標の示す川沿いの林道へと歩くことにする。中山まで下ってきた道ほどではないが、軽自動車ほどのタイヤの跡が残り、林道作業の車が入り込んでいることを物語っている。
 本当は途中で由良川のそばへ降りなければいけないのに3人とも話し込んでしまい、林道を登りかけた頃におかしいことに気づき引き返す。
 25分もロスをしてしまったが、「明るくならないと沢には入れないのでちょうど良かった」と本音なのか強がりなのかBAKUさんがそう言ったので黙って頷いておいた。(^^;
 

  
これといった場所に来ると
カメラを構えて止まることしばし
  流れの溜まりには落ち葉の絨毯が広がる

 GPSを見てもあきらかに行き過ぎている。 話に夢中になるとこんなことになる悪い例。(^^;
 すぐさま引き返し、地図で確認しながら由良川に一番近くなったところでエスケープ。 降りたところは紅葉で囲まれたとても綺麗な所で思わず3人とも歓喜の声が漏れる。芦生らしくしっとりした雰囲気がいい。
 ここで沢靴へと履き替える。BAKUさんは履いてきた靴をデポしておくという。帰りに回収して帰るので、目立たないところに隠しに行った。
 すぐに沢を渡り低い鞍部を越えていきなりP647の支尾根をエスケープ。ちょうど蛸の頭のようにふくらんだ沢を首元で横切る感じ。
 矢問さんが仕入れてくれた山日和さんからの情報では右岸にある登山道を歩いたと記録してあったが、沢自体が緩やかで紅葉も綺麗なので沢中を歩くことになった。
 岩谷まではさほど難しい箇所はなく、沢歩きしながら紅葉を楽しむ。

  

岩谷出合では登山者3人と出会った  足早に通り過ごすのがもったいないほどの紅葉 トチの巨木

【7時37分】岩谷出合
 今回の予定では、往路は大谷を遡行し帰りにこの岩谷で降りてくることになっている。
 ちょうど大谷方面から来た3人グループと出会う。どうやら長谷部へ行く予定だそうだが、現在地がわからなくなってしまったようで矢問さんに尋ねていた。その方々はこの先(大谷方面)の途中にあるツボ谷出合あたりをテン場にし幕営して歩いてきたそうだ。
 岩谷出合には炭焼跡の平地があり、テン場に適した場所がある。その近くに山日和さんが歩いてきたという登山道もあった。
 少し休憩の後、大谷出合へ向けて出発する。
 出発してしばらく歩くとゴルジェっぽくなったところで止まる。残置スリングもある左岸をトラバース気味に渡れなくもないが、万が一落ちると岩の形状からして怪我は免れない感じ。ここで虎の巻(山日和さんのトポ)を出しチェック。左岸上に登山道があることがわかった。少し戻って途中の草付きをよじ登ると立派な道があった。

ゴルジェに行く手を遮られる  岩谷出合と大谷出合の間の道は
谷へ向かって外径しているので
滑りやすく怖い
ツボ谷にかかるスダレ滝

【8時52分】ツボ谷出合
 しばらくはこの登山道を利用する。しかし、エアリアでも点線で書かれているようにあまりお奨めできる道ではない。遙か下に沢が見えて足下が頼りない箇所がいくつもある。沢靴だからフリクションもあり土や岩を掴むが登山靴だと心許ないと思う。
 ツボ谷を目の前にして鎖場が現れた。下るとそのまま対岸へ渡り、ツボ谷出合で休憩する。ツボ谷にはスダレ状の斜滝が見え僕らを癒してくれた。

【9時40分】大谷出合
 道は左岸から右岸へとスイッチし、踏み後を歩く。しばらくして背も鼻も高い外国の男性と出会った。その方が現在地を矢問さんとBAKUさんに聞いているようで、地図を広げて対応している。
 しばらく歩くと大谷出合に着いた。トチの大木が出迎えてくれる。ここまででちょうど5時間。普通の沢ならもう下る経過時間帯だ。それほど大谷は奥深いところにあるということ。しばらく休憩の後にいよいよ大谷へ遡行を始める。

  
エアリアに表記された漢字がわからず
矢問さんとBAKUさんに尋ねる外国人の男性
  大谷出合ではトチの大木が出迎えてくれる

  

 大谷の支流には面白い名前の沢がある。「一ボケ」「二ボケ」「三ボケ」。名前の由来を一度聞いてみたいと思うのは僕だけではないはず。
 大谷へ足を踏み込み感動させられるのは原生林の美しさ。植林で目が慣れている僕にとってこれだけの原生林をお目にかかることは滅多にない。これが芦生のいいところ。ゲロク谷と比べると渓相が広く明るい。紅葉が終わり頭上からハラハラと落ちる葉が哀愁を誘う。ここで座ってじっとこの風景を見ていたら思わず詩人にでもなれそうな気がしてくる。それほど癒されるいい場所だ。

  

  

【10時40分】二ボケ
 どれが一ボケで二ボケか良く地図を見ないまま歩いていたので、二ボケが一ボケだと思っていた僕は二ボケを通ったときに「これが一ボケですよね?」と言ったもんだから、二人とも目を丸くして「へ?うそ!まさか違うやろ!」と大変驚いていた。実際そうだろう。これが一ボケだったら全然進んでいないことになるのだから。一ボケならぬ大ボケをかましてしまった。(^^;
 すぐに右岸から沢が合流。 どこまでが大谷というのかはわからないが、どうもこちらを差すようだ。ここからは渓相が一変し沢登りらしい滝が続々と続く。まずその出合にかかる6mの滝。それは左右どちらからでも巻ける。
 途中で倒木にびっしりとついたキノコを見た。一見、美味しそうに見える。でもこれが噂のツキヨダケなの?と思ったり。見分ける知識があれば美味しい思いもできるのに…。

  
ツキヨダケなんでしょうかね?   二股の奥にかかる6m

 5mの滝が2つ続くところは右から巻き、その先は両岸が迫り立ち右折れしている。先に歩いていたお二人がその場所で右折れした先を眺めてはデジカメで撮影している。何かいな?とそちらへ向かうと見事な15mの斜瀑。コークスクリューのようにくねった滝で登る前からウズウズする。お二人ともどうぞどうぞと譲ってくれるので遠慮なくトップを行かせて頂く。
 右側をへつるように登ったらそれほど難しくはなかった。お二人も登ってくる。
 登り切ったところは開けていたが、先へ進むと再びゴルジェ。そして細く落ちる15mの滝が大きな釜をたたえて流れていた。ここは左しか巻けない。
 BAKUさんが先頭でジグザグにルートをとっていく。途中で僕にスイッチして直登するが、滝の落ち口近くを慎重に巻いて突破するのが正解のようで、それをBAKUさんが行った。

ゴルジェの奥には…(右へ) コークスクリューのような
うねった滝が現れた 
細く落ちる15mの滝

 さらにその上には20mの大滝が現れる。この沢一番の大滝だ。この滝の前で記念撮影をして左岸から巻き上がる。
 滝上から先は元の穏やかな渓相に戻り流れも細くなる。分岐には必ずといっていいほど巨木が立ち、まるでこの森へ入る物を見定めているように上から見下ろしている。最後の滝は表現としてはナメと斜滝の中間のような滝。水が少なくて迫力がない。
 沢は三国岳を回り込むように北東・東・南東と向かい、最後は急斜面を必死で駆け上りやっとの思いで登山道に出た。

  
20mの大滝   大滝の上は流れも細くなる

  

【12時55分】三国岳山頂到着
 これで坂は最後かと思ったら大間違い。登山道も三国岳への登りは急坂が登場する。BAKUさんは元気に一等賞。僕と矢問さんがダラダラと続く。矢問さんは寝不足と疲労もあるが沢靴が影響しているのか、どうもいつもの元気な矢問さんではない感じがする。
 山頂には倒れ込むように到着。矢問さんは今年の2月にもここへ来ているが、そのときは雪が笹を踏みしめていたお陰で展望は良かったそうだ。 今はその笹が背丈ほどの高さに茂りその変わりように大変驚いていた。
 お昼を取ろうと広げていたところへ、おじさんが一人現れた。話をするとこの芦生をメインに歩いている方のようで、僕らの行程を聞いて帰りに歩く予定の岩谷は何もなく面白味がないのでそれを下らずに、稜線沿いに歩いた方紅葉も見れるしそちらがいいと薦めてくれた。
 僕は万が一の場合を想定して、GPSに稜線沿いを歩けるようにポイントを入れておいた。それもあって協議の結果、稜線沿いを歩くことになった。 BAKUさんのデポした靴は後日回収に来るまで芦生の森に預かってもらうことに。(^_-) ※一週間後に回収がてら岩谷へ行かれたそうです。
 迷いそうな分岐の箇所を教えてもらい、おじさんと別れた。

やっとたどり着いた三国岳山頂

【13時35分】三国岳を出発
 岩谷峠までははっきりした道がトレースされていて快調に飛ばす。経ヶ岳・桑原への分岐を左へとり岩谷峠では、右に古屋へと向かう登山道と別れてここからは道のない尾根伝いへと足を踏み込む。
 地蔵峠までの間、小ピークが幾重も現れてそのたびに悲鳴にも似たやるせない声が響き渡る。そしてそのアップダウンに耐えかねた足がとうとう吊り始めた。その都度、休憩しもってだましだまし足を運ぶ。
 尾根は踏み後らしき道がある場所、ロープが張ってある場所、テープが巻いてある場所などもあったが、逆にほとんどの場所は踏み後がない不明瞭な箇所が多く、ルートファインディングが必要なのは言うまでもない。
 入力しておいたGPSのポイントは有効で距離の目安になるが、思っていた以上に距離が長い。 おじさんに教えてもらった迷いやすい818のピークは何とかクリアできたものの、今朝歩いて行き過ぎた林道の真上付近の尾根分岐付近では北西へ下る尾根がなだらかでわかりずらく、南西の尾根に降りかけて少し迷う。
 その818のピーク付近で休憩していたとき、本当は今日来るはずだったじゅんちゃんから携帯にメールが入った。「きのこのうたの替え歌を作ってみました」なんて書いてある。疲れてヘロヘロになっているところに最後の精気まで抜かれそうなメールだった。(^^;

 最後の最後になって、地蔵峠へ向かい尾根が北を向き始めるところで再び迷いはじめ、現在地を確認しようとGPSを見たところ、僕のGPSは緯度経度がずれていることが判明。あとでわかったことだが、測地系の設定が間違っていたのだ。200m余り北西へずれている。山でこの誤差は致命傷になりかねない。正確な矢問さんのGPSで確認して進む。
 最後は矢問さんがブルドーザーのように藪をこいで強引に林道へ脱出!。

  
尾根沿いの途中で撮影   地蔵峠から林道を下る

【16時45分】地蔵峠へたどり着く
 そこは地蔵峠のゲートが目と鼻の先の場所だった。
 下山届けを出して、そのついでに入れ違いに入っているゲキさんたちの登山届けを確認してみる。あったあったありました。会えなかったのは残念だったけど、ご一緒できることを祈ってまたの機会まで取っておこう。
 
【17時15分】駐車場へ
 林道を下りながら山の斜面に色づいた紅葉を見て楽しむ。来たときは真っ暗で何も見えなかったが、周りがこれだけ紅葉していたことに改めて見直しながら下る。
 駐車場に着いた頃はほとんど日も暮れかけて薄暗くなっていた。日がある内に駐車場まで帰ることができてホッとした。ザックを降ろし無事帰れたことに感謝してお二人と固い握手を交わす。
 着替えをしている間にあっという間に日は落ちて、車を出発させる頃にはもう真っ黒。帰りも来たときと同じく暗くなった道を矢問さんが飛ばす。
 湖西道路では渋滞しているところを一般道へ降りて地道を抜けて再び湖西道路へ。いい抜け道を見つけたと矢問さんは喜んでくれた。(^^)v

 終わりよければすべてよし。おおよそ12時間余りを歩いて体はボロボロ。でも、芦生の秋を堪能できたこと、芦生の森を存分に歩き通せたことで気分は心地よかった。