中央アルプス 西横川へ沢登り 


●場 所:西横川
●山 域:中央アルプス
●日 時:2001年(H13)8月5日
●天 候:曇り時々晴れ
●標 高:2883.4m(伊那前岳)
●地形図:木曽駒ヶ岳(1/25,000)
●メンバー:佐野さん、助役、ベリさん、矢問さん、てる



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 今回の西横川はお盆に行く、黒部川源流の赤木沢の練習遡行として選ばれた。助役や矢問さんにしてみれば時間的に見て中央アルプスへ行くのも大峰・台高の沢に行くのもそう変わらないということから、意外や意外、この西横川が選ばれました。

 前日の夕方に集合場所である川西池田駅へ向かう。矢問さんのワンボックス車が到着。佐野さんと助役は矢問さんの家に車を置いて一緒にやってきたのだ。少し遅れて到着したベリさんは髭を生やして、まるで「熊」そのもの。f^^;)
  夜の宴会用のアルコール類を買い込んで高速を東へ。車の中では常に会話が飛び交いアッという間に中央道の神坂PAに着き、小宴会のあと就寝。

【6時14分】入渓
 午前3時半、矢問さんに起こされてテントを撤収後、すぐさま駒ヶ根SAへと向かう。朝早い朝食を取り排水作業を終えて駒ヶ根の大駐車場へ。すでにしらび平駅へ向かうバス停には登山者の列ができてバスを待っている。バスに揺られること30分。しらび平駅へ到着。
 登山客と別れてバス停から少し戻り橋を降りたところから入渓。

 
しらび平駅から少し戻った所にある
橋から入渓
  遡行準備をするメンバー ヤマホタルブクロ

【6時35分】東横川との二股
 入渓してすぐに水をさわった。思ったより冷たくない。これなら2週間前に遡った前鬼川の方が冷たかった。意外と言えば意外だ。
 目の前の堰堤を越えるとゴーロ帯が続き東横川との二股に着く。東横川の奥を見ると20mの大滝が見える。二股を左へとると5mの滝が続いて出てくる。どれもホールドが豊富で直登できる。

 
二股にあるナメ   東横川を見ると20mの
大滝が見える


   
最初の5mは右岸を直登できる   こんなトユや…   こんなトユもあったりします

5mの滝を直登したものの最後は
スリングを借りて登る佐野さん
珍しいシーン?

 今まで関西の沢しか登ったことがなかったが、圧倒的に違うのがスケール。これだけ傾斜があるのに遠くまで見通せしかも幅が広いので開放感にあふれている。これなら沢を始めた人が沢登りを好きになるはずだと思う。
 さらに遡ると雪渓があった。へりに2m幅ぐらいで残るだけだが、この時期に雪渓が残っているなんてやっぱり中央アルプスなんだと改めて思わされる。
残り少なくなった雪渓をバックに…
 
   
開放感あふれる風景     ベリさん奮闘する

【7時34分】30mの大滝
 30mの大滝の前に着いた。どこからでも登れそうで上部の滝は直登できそう。矢問さんのカメラで記念撮影したあと、登坂を開始。すでに佐野さんはトップで右岸を登っており、助役もはやる気持ちを抑えきれない様子でズンズンと登っていった。
 僕も下部は左岸を楽しく登った後、さらに進もうとすると佐野さんが何か叫んでいる。しかし、滝の音に消されて言っていることがわからない。そのうち怒鳴っているように思えてビクビクしていると、どうやら滝の右岸は浮き石が多く危ないから登るのを待ってと言っていたそうだ。
 なるほど、登ってみるといたるところに顔より大きな岩がゴロゴロ浮いている。落石を起こせば事故になるのは目に見えている。

30mの大滝全景


    
下部の滝の左岸を登る矢問さん    上部の滝は中段まで直登できるが
途中から右岸にスイッチし
ホールドを掴みながら快適に登る
右岸の上部に佐野さん
中段に助役がいます
   滝の上部から俯瞰した画像
矢問さんが登ってきます


 30mの大滝を越えるとナメが断続的に続く。自分が登った沢の中でナメと言えば前鬼川の120mや白子谷の40mなどがあるが、この沢のどのナメもスケールがでかい。残念ながら上空は曇っていたが晴れていれば、もっと明るくて広い沢を体感できたのに残念。
 2段10mのナメでは中段まで登っていた矢問さんが、佐野さんのセットするロープを出すまでの間、シャワーに浸かりっぱなしになり悲鳴に似た雄叫びを上げていた。どうやら大事な箇所に雪解け水が直撃していたそうで「キン○マ縮む〜!」の声には一同大爆笑!。(^Q^)
 ベリさんと僕は同じく確保してもらって、直登せずにた横V字型状になったナメを登った。ここも半分シャワーで冷たいのなんの!。念のためにロープを出してもらったがこれが正解。一見傾斜が緩いように見えるがバランスが取れにくくヌメヌメなので滑りやすい。

「素晴らしいナメとおっさん達」 ニッコウキスゲがいたるところに
群生していた


 
佐野さんが指導しながら
ベリさんを誘導する
シナノキンバイの大群を横目に
ナメ20mを登る

もう一つのナメは多段になっている (左画像の上は)横V字型状のナメを
シャワーでいく
私が左画像の場所を歩いています
下半身が濡れていっちゃいそうでした
(。_゚☆\ ベキバキ

 10mは僕がトップで登らせてもらった。左岸から取り付いてほぼ中央を取り、最後は左上に抜ける。ホールドは豊富にあり手はかかるが、フットホールドが滑っている箇所が多くて緊張を強いられる。結局登れたがみなさんを確保するロープを持ってなかった。(^^; 
 小滝を越えると再びナメが現れる。広がるナメはどこからでも登れそうだ。そして両岸には高山植物の緑が一面に広がる。関西では残念ながらこんな景色に出会えない。やっぱりスケールが違うよなぁ〜としみじみ思う。

10mを登るわたくし。このあたりから
直登しますが、ホールドはあるもの
のヌメヌメや〜(佐野さん撮影)
   ロープびんびんに張ってごぼうで
登るベリさん

   
15mのナメ 両岸から
直登できる
  広い谷間に高山植物の緑が敷き詰められる   水際に咲くオオバミゾホオズキ


6mナメは右岸を遡行 奥の二股に到着


 【10時38分】奥の二股
 三つ又になった箇所を過ぎると6mのナメ。それを過ぎると少し開けたところで二股に差しかかる。右は10mのナメ。本流は90度左から流れる30mの方だ。少しゴルジェっぽく両岸が迫り立っている。下部はガレになっていて4mほどのナメの上は階段状に20m登る。その20mほどの間で事故が起きた。
 トップは佐野さんで次に矢問さんがフリーで行き、ベリさんは佐野さんからロープを出してもらって登った。次に僕の出番。右岸を登るのだがさほど難しい箇所もなく、適度にガバがあるのでそれを掴みながら登った。僕がほぼ登り終えるのと同時に振り向くと助役が登ってくるのが見える。とその瞬間、助役の身体が宙に浮いた。まるでスローモーションを見ているように右手でホールドしていた50cmほどの岩が剥がれ落ちてゆく。クルッと時計回りに身体を回転させながら、椅子に座るような格好で落ちる助役。2回バウンドしただろうか。
 思わず「うわぁー!!!!!」っと声を上げた。剥がれた岩が助役の横を通過する。ズズーッとお尻から滑り落ちるように大岩前で止まった。
 大の字に仰向けになって倒れている助役。この時、最悪の事態を覚悟した。と、その瞬間、起きあがる助役。その姿を見て「生きていた!」と思うと涙が出てきた。
 そんな感傷に浸っている間に佐野さんは着実に次の行動に出ていた。木を支点にしすぐさま懸垂下降で助役の下へ降り立った。「すごい」。心底思った。感傷に浸るのはいつでもできる。そんな感情を押し殺してすぐに適切な行動に移れる佐野さんと助役を黙ってみているしかなかった。
 登ってきた助役は顔面蒼白。気持ちを落ち着かせるために煙草を吸うがどこかぎこちない。突然襲ったアクシデントに動揺を隠しきれない。尾てい骨を強打し鞭打ちの症状があるようで先行きが不安だったが、「大丈夫」の力強い一言でとにかく千畳敷カールへ向かうことになった。
 このあと5mは右岸の草付きを登るのだが、落ちる瞬間を見てしまったので身体が怖がって手が出ない。f^^;) 佐野さんが出してくれたフィックスロープを使ってタイブロックで登る。

二股を左に入るとすぐにある30m大滝
問題の事故現場だ
左画面から3mほど上がった奥にある
上部画像。ベリさんが登っている。
この少し上で事故が起こった模様
谷は次第に細くなり草が岩を覆い始めた 助役の身体を気遣って休憩をちょくちょくとる ガスが覆い被さってきた

 この先は谷間がさらに狭くなり同時にガレとなる。落石を起こしては大変とみなが一段と慎重になる。
 助役の身体のこともあるので何度か休憩をとり体を休める。ガスが段々と濃くなり見通しが悪くなる。傾斜も徐々に厳しくなり息も上がってきた。

よいっしょ!っと矢問さんが登る 長谷部新道はご覧のような悪路
白い点々はヘルメットです

【13時00分】長谷部新道合流
 バイブルにも長谷部新道との出会いにはトラロープが張ってあると書いてあった。「トラロープトラロープ」と口ずさみながら登っていると突然それが現れた。なるほど廃道となっているだけあって出会い付近は草木が道を覆ってしまいとてもわかりにくい。しかも一歩外は崖になっていたりとかなり危ない。
 少し歩いたところで開けた木の台があったので、矢問さんと僕はここで軽登山靴に履き替え。軽装になった二人を見て助役が先に千畳敷へ行って帰りのロープウェイの整理券を取ってきて欲しいと言った。合点承知!。足早に先へ急ぐ二人。支尾根を何度も巻くこの道から千畳敷が見えるがなかなか近づかない。しんどい〜!。(-_-;

少し早いけど遡行完了記念撮影
本当はバックに千畳敷カールが見えていたが
ガスってしまった
長谷部新道から見えた
千畳敷カールと宝剣岳
千畳敷カールからは長谷部新道
には入れません

 千畳敷カールの手前まで来るとこの廃道をロープがいくつも横切る。まるで入るなと言わんばかり。千畳敷カールへトン!と出てみると看板があり、この廃道へ入らないよう警告する看板があった。なるほどね。(^_-)
 千畳敷カールへ出てみると、まるで場違いな空間へ出てきた感じがした。ハイヒールとまではいかないがサンダル履きの女の子が街中の服装で歩いている。こちらとはハーネスに汚いズボンにヘルメット。物珍しそうに見られる視線が優越感を感じたりして。f^^;)
 ロープウェイ駅に着くと人であふれかえっている。整理券をもらうとホワイトボードに書かれている時間と照らし合わせてみた。16時30分…。時計は14時過ぎ…。………。
 ほどなく到着した年寄り連中(。_゚☆\ ベキバキ 助役、佐野さん、ベリさんと、無事ではないけれど何とかここまでたどり着いたことに感謝しみなで交互に握手を交わす。
 休憩する間も助役はケガのせいか寒さを感じるのかすっぽりと雨具を着込んで持久戦に入った。ノースリーブの女性に雨具を着込んだ助役。どっちが正しい服装なのかわからない。f^^;)
 16時30分。やっと下界に降り立つ。バスに揺られて駐車場へ。思った以上に時間を食ったので温泉はお預け。佐野さんご推薦の明治亭のソースカツ丼を食べに車で移動する。食べてみるとカツはジューシーでソースが絶品!。適度な甘さが食欲をそそる。
 お腹いっぱいで駒ヶ岳を後にしました。
 帰りはさしたる渋滞もなく矢問さんと運転を交代しながら大阪に着いたのは午後11時過ぎ。

 今回は滑落事故というアクシデントに見舞われ助役にとってはとんだ災難でしたが、最悪の事態だけは避けることができ大難を小難に済ませ、ある意味では良かったと思います。そんな不測の事態に対応する佐野さんの行動には本当に勉強になりました。
 次は本番、赤木沢。ということで続く…。